◆三たび甦る山野のこんぴらさん(松井豊さんを偲んで) 福川 清太郎 <004>
 高橋孝一さんの「お山のこんぴらさん」にある、山野下市の常夜燈に関して平成16年1月「313e広場」に於いて「いま甦る念佛法燈」として、その後の姿が次のように紹介されている。
もとの姿 いまの姿
山野下市
写真:「お山のこんぴらさん」より
御幸町松井さん宅
写真提供:大陽新聞
 今「お山のこんぴらさん」のページを開くと、「高屋川」系のページトップに「山野下市」のこんぴらさん(石灯籠)が大きくうつしだされている。実はこの石灯籠は思わぬ所に形を変えて元気な姿で生き続けている。2000年1月のこと、福山市御幸町に住む松井豊さんは、その前年山野下市にある石灯籠が道路工事のために、あわや捨て去られる運命にあることを知った。松井さんは山野の出身であり、このことを耳に入れるや咄嗟のひらめきで「よし我が家にお迎えしよう」と決心。地元の人と協議の結果この移転が実現。西暦も大台に変わったミレニアム(2000年)の年明けを期し、松井さん方の庭の一角に建立された。周りとのつり合いのため、脚の部分を角石に変え「念佛法燈」の名を刻んだ。ふるさと山野に向かい、ご先祖様の霊に敬虔な祈りをするという意味が込められている。ちなみに松井さんの住まいの番地が2000番地−1ということで、偶然といいながら不思議なめぐり合わせとなった。         
 さて、更にその後日譚についてご紹介したい。

 当主の松井豊さんは、昨年11月に83歳の天寿をまっとうされて天国に旅立たれた。
その半年前に電話があった。
 それは「念佛法燈」を再建したが、その際残った部材を使って、もう一つ灯篭を建てたとの知らせであった。しかしその直後体調をくずされて入院されたため新しい灯篭にお目にかかることが出来なかった。そして残念なことにそのまま不帰の客となられた。
 年改まって私はご仏壇に参拝のため松井家を訪問した。その際新しい灯篭を拝見することができた。
 笠石と台石の一部を使って造られた灯篭は愛くるしく、なつかしい友と出逢ったような感じがした。
松井さんの心意気はこの二本の灯篭に宿っていると感慨にふけったのであった。

 松井さんは、物を大切にされる点において天下一品で、この灯燈をはじめ仏像や美術品の蒐集に一生を捧げられ、そのコレクションは質量ともに驚嘆に価する。また歌のたしなみもあり、再建の灯篭の写真と共に一首をご披露し、ご冥福を心からお祈りするものである。
新に建立された石灯燈 松井さんの作「春を詠む」 山野橋の橋頭銘
H17・2・16